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2009年8月31日月曜日

”マネジメントが変革と継続のバランスを実現する。”

 
本日のページは、ダイヤモンド社(日本)で1994年に出版した『すでに起こった未来』の最終章に書かれたドラッカー教授の回想について触れられている。

「すでに起こった未来(ダイヤモンド社)」という本は、ドラッカー氏が1946年から50年近くに渡って書いた論文を集めて構成されている。その最終章(24ページ)にはドラッカー教授の”知的な遍歴(intellectual autobiography)”として、”ある社会生態学者としての回想”が記されており、社会における彼の使命について改めて明確化する内容となっている。

彼の仕事は二十歳の頃から感じ始めた「継続と変革の相克(そうこく:相いれない二つのものの、せめぎあい。)に対する関心から始まったと言ってよい。」とし、社会生態学の目的は、すでに起こった未来を知覚し、次なる正しい行動のために「継続や維持と、変革や創造とのバランスを図ることである。動的な不均衡状態にある社会をつくることである。そのような社会のみが、真の安定を保ちうる。そして、結合力をもちうるのである。」としている。

たしかに、真の安定とは、常に変化する状態を率直に受け入れることからスタートするのだと思う。我々にとって”安定”を、「変化しない状態」としてそれを期待するのであれば、そんなものはそもそも存在しないのかも知れない。人体を例にとっても、何一つとして同じ瞬間は存在しない。我々の細胞や思考の一つひとつが刻々と異なる時間を送り続けているのだ。

みなさんは、心理学用語の「ラポール(Wiki)」という言葉をご存じだろうか?ラポールとは、元来フランス語で「橋を架ける」という意味があるそうだが、心理カウンセラーと患者であるクライアントの間で信頼関係が築けている状態を指す。そしてこれを実現するためには、カウンセラーは絶対的な対等性をもって相手に接し、クライアントの心に起こっている”全て”を受け入れる必要がある。

私がドラッカー教授に最も魅力を感じるのは、彼の底知れない愛情だ。ドラッカー教授は1対1の人間関係に終わらず、”社会全体とのラポール”が取れていた方だと思う。今、目の前で起きている現実を一時の感情で跳ね返したり、逃げるのではなく、彼はたった一人でぐっと受け止めた。そしてそれを社会全体の機会に変えるため、正しい選択に必要な思考の体系化を図ったのだ。

まずは組織に関わる全ての方々と共に、変化を受容し、よりよい選択をしていきたいと思う。


Today's Questions.
Q:人、モノ、お金、出来事、情報の中で、最もラポールをとれているのはどれですか?また、最もラポールを取れていないのは何ですか?
Q:身の回りで起きる出来事や情報。そのそれぞれの意味は?
Q:なぜ、それがあなたの目にとまりましたか?

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9月1日”仕事のできる者はまず時間に手をつける。”
時間は誰もが共通に持つリソースであるにも関わらず、その使い方次第に大きな違いをもたらします。明日もお楽しみに。

2009年8月29日土曜日

”仕事ができる組織は仕事を楽しんでいる。”

 
本日のページは、「機会志向型組織」について触れられている。

原著”The Daily Drucker”の冒頭文は、「組織には重心がある。(Organization have a gravity...)」という言葉から始まっている点が印象的なこのページ、組織の”重心”を”過去の時間”(この場合、問題解決に割く時間)ではなく、”未来の時間”(未来の行動やイノベーションに繋げる時間)にシフトする必要性を強く感じさせてくれる。

兎角ビジネスというと利益を生むためには「〜しなければならない。」「〜しなければ嘘だ。」「普通は〜のはずだ。」というネガティブな印象を前提にしてしまう傾向があるが、本来、事業の目的は「顧客の創造」である。苦しんで顧客を創造する必要はないし、苦しんでいる者による顧客の創造は短命に終わるはずだ。

時間というリソース(資源)は全く不思議な存在で、有限であり、無限でもある。同じ1時間を過去に使い出すと、いくらあっても時間が不足してゆく。一方、未来に使うことで、無限に時間を生み出せる事に驚きさえ感じる。これを組織が理解し出すと、従来の常識では実現し得なかった事がいとも簡単に実現できる奇跡が起こる。

当社でも、何か問題があった時は、「報告の冒頭に『せっかく』という言葉を入れてください。」と言う事がある。「実は・・・」から始めると、次は「なぜなら・・・」になる。これには際限なく時間が必要となるが、「せっかく・・・ので、」と始めると、「次からは・・・」となる。殆どの場合、短時間かつ笑顔の内に次に為されるべき事が明確になってくる。

笑顔にならないと脳が開かない。

昨今、脳科学の研究においても、笑顔が生み出す無限の可能性についても立証されつつあるが、そうした単にテクニカルな手法のみにフォーカスすべきではない。組織のスタッフが求めている本当の成果は何なのかを常に問い続け、それを後方から見ながら愚直に支援し続けることで、ある日突然、しかも想像より早い段階で、組織やそこに関わる人々が「屈託ない笑顔」と「想定外のイノベーション(奇跡)」に包まれる日が来るのだと感じている。

Today's Questions.
Q:組織内で、誰からも好かれている人の誕生日に、サプライズ・パーティーを開くことになったとします。やる事が決まったとたん、あっという間にしかも楽しい雰囲気で物事が決まり出しますよね。この時の全体の進め方(目的の明確化、呼ぶメンバーの選定、担当の選定、スケジューリング、当日の運営方法 等々)を、実際の仕事にそのまま活かすには、どの様にすれば良いですか?

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8月31日”マネジメントが変革と継続のバランスを実現する。”
明日の「Drucker365」は、本日の内容と重複する部分が多いので、お休みをいただきます。次回、月曜日の投稿をお楽しみに。

2009年8月28日金曜日

”幸せに暮らしましたで終わるのはおとぎ話だけである。”

 
本日のページでは、事業が成功した後に必ず襲われる”睡魔”の恐ろしさについて紹介されている。

何らかの物事が発生した(成功した)瞬間、陳腐化も同時に生まれ、進行を始める。半ば、哲学にも通ずる様な話だが、ニッチ戦略に成功した企業のトップは痛いほど理解しているはずだ。

当社にこんな話がある。私と兄で経営を承継した際、過去およそ十年間に渡り、組織や現場の改善が全くといって良いほど行われていなかった事に気付いた。正に空白の10年が存在した。今後の体質改善やシェアの維持拡大を考えると、大幅なカイゼンが必要である事を伝えると、「創業者の○○さん(祖父)は、『この仕事は未来永劫続くから、安心しなさい。』と言われました。それをあなた方は壊すんですか!」と反発された。

確かに特定の市場で大きなシェアを持つという事は、顧客に選ばれた結果であるが、それはあくまでも過去行ってきた事の結果であり、明日の成果は今、作り込まなければならない。

先にも触れた様に、人は感じ、考え、行動する。最初の「感じる」フェーズにおいて、環境の変化を薄々は感じながらも「感じないでいよう。」と現実逃避しがちだが、同時に誰もが多かれ少なかれ”良心の呵責”を感じるはずだ。

この生理的な違和感こそが次なる行動、いわばイノベーションの種だと思うのだ。まずはそれを知覚できた自分(またはスタッフ)を褒め、環境の変化に愚直に順応できる組織作りを心がけたい。


Today's Questions.
Q:組織内で口にしてはならないタブーは何ですか?
Q:どの様にして、それを機会にできますか?

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8月29日”仕事ができる組織は仕事を楽しんでいる。”
ドラッカー教授は仕事を楽しんでいる組織のコンサルティングしか取り組まなかったそうです。あなたの組織にはドラッカー教授が来てくれますでしょうか。明日もお楽しみに。

2009年8月27日木曜日

”小さな改善が独占的な地位を与える分野を求める。”

 
本日のページには研究開発戦略の一つ、「ニッチ追求型」のスタイルをとったチャーリー社(Charlie)の事例が紹介されている。

チャーリー社は基本的に研究活動をしない。下記の2つの分野においてのみ製品の開発を行う。

①従来の製品を、組み合わせたり、ちょっとした改善によって大きな効果を得られる分野
②良い製品が生まれると、競合が入る隙がない程、市場が小さい分野

チャーリー社の戦略は、起業家戦略の中で紹介されたニッチ戦略の「専門市場戦略(8月23日)」に通ずる。この日も書いたが、競争相手に「これは儲からないな。」と感じさせる事で、そこから先の行動を抑止することができる。毎年少しずつ改良しつつ、常識的な価格にとどめることで、小さな市場を占拠することができるのだ。

ここで改めて”ニッチ”という言葉の意味を思い出したい。”ニッチ”とは、本来は生物生態学用語で、「地球生態系における生態的地位とその全てのリソース(環境、敵、時間、空間、餌 etc.)」を指す。

真のニッチ戦略とは、”戦略”という言葉から想像される「他の圧倒を目的とする競争」ではなく、自らまたは自らの組織が、社会の「どの部分(市場)を担当するべきなのか?」という、社会全体との調和を意識して行う「重要な責任を伴った”選択”」を指すのかも知れない。

Today's Questions.
Q:あなた(またはあなたの組織)の強みは何ですか?
Q:今の市場は、あなた(またはあなたの組織)がリードすべきですか?
Q:今の市場は、何社が担当すべきですか?

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8月28日”幸せに暮らしましたで終わるのはおとぎ話だけである。”
明日のドラッカーは、市場リーダーになってしまった際に注意すべき点について紹介されています。お楽しみに。

2009年8月26日水曜日

”研究成果を売る”

 
本日のページには研究開発戦略の一つ、「目的限定型」のスタイルをとったベイカー社(Baker)の事例が紹介されている。

ベイカー社は、昨日紹介されていたエイブル社(Able)の様な、リーダー的研究開発企業が総力結集型戦略によって開拓した市場において、基礎研究無しに研究開発を行う、といった”二番手戦略”的スタイルをとる。

しかし、同社のユニークな点は、開発したアイディアの内、業界標準になり得る2〜3割のみを自社で製品化し、残りの研究成果は全て他社に売ってしまうところだ。これにより、エイブル社の特許収入は本業である薬の販売と同等であるというから驚きだ。

そして、この話で最も注目すべき点は、エイブル社が”製品化”と”知識としての商品化(特許のライセンス)”を選択する判断基準にある。同社は以下の3つの問いを元にその意思決定を行う。

①新たな業界標準になり得るか?
②(健康維持から治療まで)すべてのプロセスに大きな変革を与えられるか?
③長年にわたって標準でいられるか?

同社は、これら3つの質問に対する答えが一つでも”No(ノー)”の場合、一切自社生産せず、知識としての商品化を選択する。

市場リーダーになるためには必ずしも”総力結集型戦略”が必要なわけではない。誰でも比較的容易に判断できる”ストイックな視点”を経営の意思決定ツールとして設置することで、ムダな労力を使わずに選択と集中を行い、市場にはリーダー的存在として認知される事ができるのだ。

重要な意思決定にこそ、組織のより多くの人間がその経営判断に参加できるような”シンプルかつ切れ味の鋭い質問”を用意しておきたい。

Today's Questions.
Q:長年に渡り、業界標準になり得る仕事に集中していますか?
Q:製品やサービスの他、知識を商品化することできますか?
Q:重要な意思決定にスタッフを参加させていますか?

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8月27日”小さな改善が独占的な地位を与える分野を求める。”
明日は、3つ目のニッチ追求型の研究開発戦略を行ったチャーリー社が紹介されています。お楽しみに。

2009年8月25日火曜日

”重要分野でリーダーシップを握る”

 
本日から3日間に渡り、3つの研究開発戦略についての説明がなされている。

事例として製薬業界の3社、エイブル社(Able)、ベイカー社(Baker)、チャーリー社(Charlie)が挙げられ、売上に占める開発費の比率は3社とも同様であるが、そのベクトルについてはそれぞれが異なっていたことが紹介されている。

本日紹介されているのはエイブル社(2005年に会社更正手続き申請、後にSun Pharma社に資産を売却。)で、同社の戦略を大規模市場において選択と集中を徹底する、「総力結集型」としている。基礎研究の段階から多額の投資を行うため、リスクは大きいが、成功時の成果も大きい。

当社が研究開発型でないため、詳しいことは知りかねるが、研究開発戦略にも4つの起業家戦略が活用されているのだと強く感じた。エイブル社の様に大きなリスクと共に市場を創り、リードする先駆者的タイプ。二番手戦略を多用し、リーダーと共存し繁栄するタイプ、ニッチを追求するタイプ。

それぞれについての説明が続く。

Today's Questions.
Q:総力結集型の研究開発企業を一つ挙げて下さい。
Q:選択と集中が徹底されていますか?
Q:何をヒントに事業の選択がなされていますか?

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8月26日”研究成果を売る。”
ベイカー社の戦略は、自社製品の販売と特許収入を上手く区別しているユニークな事例です。お楽しみに。

2009年8月24日月曜日

”ニッチ戦略の弱点は永続性の欠如である。”

 
本日のページには、4種類の起業家戦略の4つ目「ニッチ戦略」にも弱点があることが説明されている。収益性が高いといわれるニッチ戦略の弱点は、旨味のある期間がそう長く続かない点だ。

ここではニッチ戦略をとる企業にとって、2つの脅威が紹介されている。

1)技術の変化によって、必要とされなくなってしまう。
2)市場が急速に拡大し、もはやニッチ市場でなくなってしまう。

パソコンに使うお馴染みの入力デバイス「マウス」を例にしてみよう。

数年前まで、全てのマウスの裏にはゴムでカバーされたボールが入っていたのはみなさんご存じだろう。今となってはボール式のマウスを使っている人は全体の3割に満たないそうだ。

ボール式マウスが主流の時代、マウスのスムーズな使用感を左右していたのは内部のボールを転がす「ベアリング」を製造するメーカーだった。単価は小さいが、数少ないメーカーが専門技術によって膨大な量を生産する、まさにニッチ市場であったはずだ。私も含め、誰もがこの構造が変わることはないだろうと考えていたのではないだろうか。

市場規模が拡大するにつれ、「どういう技術なら、この方法をリプレース(置き換え)できるだろう?」と思う人の数が増える。イノベーションは、なんとボールという可動部品なしのマウスというカタチで実現されてしまった。

現在主流の光学式マウスが誕生した時、これらのベアリングメーカーはどう感じただろうか。また、どの時点で脅威を感じたのだろうか。無論、ベアリングメーカーが自社で光学式マウスを作り始めることはまずもって不可能だ。あまりにも基礎技術が違いすぎる。ベアリングメーカーは自社のリソースを大きく割いていた高収益部門を全く他の業界に譲らざるを得なくなった。

光学式が登場して10年経たないが、すでにその市場シェアは7割を越え、同時にパソコン市場そのものも急速に拡大している。ただ、一口に”光学式”といっても赤外線、LED、レーザー等、使用感をより良くするための新たな技術が次々に登場し、入力デバイス市場の変化する速度はますます速くなっており、そこに参入するそれぞれがニッチトップを狙っている。

ドラッカー教授は、”脅威は常に外にある。”と伝えているが、技術革新が活発化する昨今は、特にこれを実感することが多い。一瞬にして主力の仕事を全て失う可能性もあるという、製造業である当社には極めて都合の悪い事実だが、この事実と真摯に向き合い、陳腐化とイノベーションを体系化して行いたいと思う。


Today's Questions.
Q:現在携わっている産業とは別の産業の見本市に出向いていますか?
Q:今の技術が全く他の技術で実現する可能性はゼロですか?
Q:他の技術に今から着手し、今の顧客に提案することはできますか?

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8月25日”重要分野でリーダーシップを握る”
明日より数日間、”研究開発戦略”についての説明が続きます。

2009年8月23日日曜日

”専門市場戦略では小さな特別の市場をつくりだす。”

 
本日のページには、4種類の起業家戦略の4つ目「ニッチ戦略」の一つ、「専門市場戦略」の説明が記されている。

昨日の「専門技術戦略」では、特定の技術を武器に市場を占拠する手法を説明した。「専門市場戦略」は特定のニッチ(隙間、適所)市場を指すが、”The Daily Drucker”の冒頭で触れられているとおり、市場規模が「利益を確保できるだけ大きさ」であると同時に、「競争相手がすぐに攻め入ってこない程の小ささ」という点が極めて重要だ。

事例として、アメリカン・エキスプレスが戦後始めた”トラベラーズチェック”を挙げている。開始当初は他の大手が意識しなかった程の市場規模だったが、しばらくして一般人の海外旅行が当たり前になると同時に安全な”現金の代替”として栄えた。しかも現金化されるまでの期間が長い場合で数年間もあったため、莫大な現金を無利子で運用できた、という内容だ。

個人的に日々思うのは、一見「儲からなそう。」というのがニッチの独占において最大の参入障壁であるという事だ。人間の行動は、①感じ ②考え ③行動する、という順序を辿ると思うが、五感を通じて感じる時点で「これは苦労しても、それほど利益は出ないだろう。」と感じてしまうと、次の方法や計画を「考える」ステージに進むことが非常に困難になる。脳が拒否してしまう。この結果、幸いなことに他者が新たな「行動」を実行するには至らない。

実は当社の製品の一つに全国シェアが約7割の製品がある。祖父の代から60年かけて少しずつシェアを伸ばした来たこの製品、工場見学者の反応の大半は「うわっ、これは大変ですね。」「たしかにこれは御社でないとできない仕事ですね。」といった、驚きを通り越した苦笑いに近いものだ。

以前、製造業における”ニッチ市場占拠のプロ”とも言える株式会社エーワン精密の梅原相談役に、「市場を選択する最終的な決め手」について質問した。すると、「あまり儲からなそうな市場で、万が一にもトップになれそうな市場を選びなさい。あとは理屈じゃない。あなたの勘を信じて何がなんでも一位になるために頑張りなさい。」と仰っていただいた。

梅原相談役は他にも、「難しいことは何もない。お客様が求めるのはより良い製品を、より安く、より早く、だ。良い製品は当たり前、安いのも当たり前、付加価値を上げられるのはスピードだけの時代ですよね。」とも仰った。

確かに「専門市場戦略」に必要なのは、複雑な方程式やテクニックではなく、純粋に「この人たちのために、こうしてあげたい。」というビジネスの枠を超えた、ある種個人的な思いやりだ。顧客を徹底的に観察することで、それに組織を愚直に順応させ、仕組み作りをする副産物としてノウハウが”専門技術”として、再びシェアを高めるための筋肉になる。

よって、専門市場戦略が組織に浸透してくると、専門技術は「縋る(すがる)モノ」ではなく、「一定期間で捨てていく”道具”」という認識が強くなってくる。


Today's Questions.
Q:楽をして儲けることを考えすぎて、迷路で迷っていませんか?
Q:変革の必要性から免れるために”できない理屈”を収集していませんか?
Q:日々感謝して仕事できていますか?

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8月24日”ニッチ戦略の弱点は永続性の欠如である。”
そうです。強いと言われるニッチ戦略にも弱点があるのです。お楽しみに。

2009年8月22日土曜日

”専門技術さえあれば競争を恐れることはない。”

 
本日のページには、4種類の起業家戦略の4つ目「ニッチ戦略」の一つ、「専門技術戦略」の説明が記されている。

この戦略と対照的な「専門市場戦略」については、明日のページで紹介されているので、是非この2つの戦略をじっくりと比較し、ご自分の組織が現時点でどちらの戦略に重心を置いているのか、または置くべきなのかを経営チームで検討していただきたい。

この2つの戦略を明確に区分けするのは困難であり、またどちらか片方が正解といったことではない。”場の空気”を読み、柔軟にそのブレンド率を変化させることが重要だと思う。あくまでも顧客から見た視点で次なる取り組みを決定していきたい。

さて、専門技術戦略は読んで字の如く、専門の技術を武器に市場を占拠する手法だ。一般的には製造業の発明などを特許で守る方法のみが当てはまる様に感じられるかもしれないが、それはほんの一部の要素だと思う。

技術は、知識から成る。知識には2種類の知識があると考えられている。野中郁次郎先生の説く、「形式知」と「暗黙知」だ。形式知は文書、図式、数式等で説明可能なカタチとして顕在化された知識を指す。一方、暗黙知とは、経験や勘など五感によって知覚したデータベース、いわゆる”暗黙の知”で、顕在化することが難しい知識を指す。

この両方の知識が専門技術戦略の「技術」を構成することを肝に銘じておきたい。

組織で考えてみよう。「形式知」は、企業理念に始まり、クレド、マニュアル、基準書、規定、図面、特許、資格、設備等を指し、「暗黙知」は直感、勘、雰囲気、空気、空間、感情、道徳観などその組織に関わる(全ての)人の五感が織りなす文化そのものを指すのだろう。

言うまでもなく、製造業の世界では、専門技術戦略にリソース(経営資源)を集中させる会社が多いが、その専門性の高い技術に極度に依存し、柔軟性を欠く関所をこしらえることで、顧客側の心理を無視してしまう傾向が強い。トップが技術者タイプや財務の専門家の場合はなおさらだ。

あくまでも事業の目的は顧客の創造であり、顧客の側から組織を見るのを怠ってはならない。顧客は、サービスの悪い”関所”から必ず逃げていく。

確かに専門技術戦略の利益率は高い。しかし、以上の様な意味で、超精密部品の製造という、精緻な”ものづくり”に携わる当社においても、「専門技術戦略」は”甘い罠”となって日々、私たちを誘惑してくる。

Today's Questions.
Q:サービスの悪い”関所”を築いていませんか? 
Q:顧客にとっての価値は何ですか?(ドラッカー5つの質問より)
Q:あなたの組織には、暗黙知を育てる仕組みがありますか?

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8月23日”専門市場戦略では小さな特別の市場をつくりだす。”
本日は長い説明をお読みいただき、本当にありがとうございます!いよいよニッチ戦略の説明も佳境に入りました。今後、あらゆる組織は、明日ご紹介する「専門市場戦略」なくして生き残れないのではないかと考えています。お楽しみに。

2009年8月21日金曜日

”関所戦略は難攻不落の関所を占拠する。”

 
本日の「ドラッカー365の金言」は、起業家戦略4つ目の戦略、「ニッチ戦略」の一つ、「関所戦略(Tollbooth Strategy)」についての説明だ。

個人的には今後の社会において最も深く学んでおくべき戦略が、この「ニッチ戦略」だと感じている。

まずニッチ(Niche)という単語の意味を改めて調べてみると、本来は生態学で使われる用語で、「地球生態系における生態的地位とその全てのリソース(環境、敵、時間、空間、餌 etc.)」を指すことが分かった。本書の原文「The Daily Drucker」の中では”Ecological Niche”というタイトルがついているのも頷ける。

なるほど確かに地球上には様々な生物が存在し、そのそれぞれが、どこで、何を食べ、どのレベルで繁殖し、何を担うのかが明確になっており、それぞれが適所に収まっている様に思える。ある意味、(地球生態系でニッチ(適所)を見つけられていないのは、人間だけかもしれない。

さて、せっかくなので「関所戦略」についても自然生態系の視点から観察してみよう。関所(Toolbooth)と呼ばれるのは、「あるプロセスの一部において、必要不可欠な存在」になることを指す。つまり、簡単に言えば「あなたなしでは、困ってしまう。」という状態である。

ふと思いついたのはミツバチだ。彼等は花の蜜を集めることによって花の受粉を助けている。もし彼等が花に乗らなければ花は受粉できないのだ。そうなったら生態系は大きく崩れてしまう。

もし、ミツバチが花に対し、技術料を毎月請求するとしたらどうだろう。それはかなり高価なものになるのではないだろうか?毎年値上げをしても、花を当面それを支払うしかない。しかし、長期的に見ると、この関係は崩れるのではないだろうか?自然は生きる道を見つける。いつしか花はその支払いを拒否し、ミツバチなしに受粉できる新たな方法を見いだすはずだ。結果、ミツバチも絶滅することになるだろう。

良くできた関所も、顧客の表情をよく伺いながら運営しないと、いつかは見捨てられてしまう。


Today's Questions.
Q:関所戦略に成功している企業、製品、サービスをいくつか挙げて下さい。
Q:関所戦略に失敗した企業、製品、サービスをいくつか挙げて下さい。
Q:その違いはどこにありますか?

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8月22日”専門技術さえあれば競争を恐れることはない。”
ニッチ戦略の一つ、「専門技術戦略」の紹介です。また、8月23日は「専門市場戦略」について、8月24日には「ニッチ戦略の限界」についての紹介が続きます。この辺りのページは(自分自身も)最も注目すべき内容だと思うので、週末中も可能な限り投稿しようと思います。 お楽しみに。

2009年8月20日木曜日

”価格戦略は顧客に合わせて価格をつける。”

 
本日のページは3つ目の起業家戦略、「価格戦略」についての説明だ。

価格戦略というと低価格競争をイメージしてしまうが、ドラッカーの言う価格戦略とは、そういった単純な方法を指しているのではなく、”製品やサービスそのものは変えない。生産者が最終的に手にする額は同じである。”と説いている。

現在の価格が顧客の経済状況にそぐわない時、顧客の負担は減らし、他で回収する方法を考えよう。ということだ。そして事例として、インターネットプロバイダーの無料化について触れられている。広告を表示することで月額使用料を無料にした、という内容だ。

ここで、ふと思い当たった製品がある。

ドイツのカーシート専門メーカー、レカロ(RECARO)社のメディカルシリーズだ。開発には医師が参加し、人間工学に基づくデザインのおかげで腰痛患者が安心して長時間運転することのできるシートになっている。

日本では10万円以上の価格がついているが、驚くことにこのシート、ドイツ本国では医師が処方し、患者は最小限の負担で購入することができる。つまり保険が適応されるのだ。

こうした、実際の単価は下げずに顧客の費用負担を最小限にしつつ、拡販するのがドラッカーが説く「価格戦略」だ。

Today's Questions.
Q:本当の顧客は誰ですか?
Q:その顧客は現行の価格に対し、どう感じていますか?
Q:主力の製品/サービスに新たな価格戦略を適用できますか?
Q:実行した場合、何が起きますか?

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8月21日”関所戦略は難攻不落の関所を占拠する。”
4つ目の起業家戦略、「ニッチ戦略」の紹介が続きます。今後数年間は大手企業によるニッチ市場戦略が本格化してくる事が考えられます。大手が目を向ける前に”選択と集中”を徹底し、小さな市場を占拠しましょう!

2009年8月19日水曜日

”柔道戦略はリーダーの地位にある者の隙を突く。”

 
親日家のドラッカー教授ならではのタイトルがついたページだ。「ドラッカー365の金言」の原文、”The Daily Drucker
”では、”Entrepreneurial Judo(起業家としての柔道)”というタイトルになっており、二番手戦略的アプローチについて説明されている。

原文の最初の文に目を向けると気づくが、「日本の柔道の名人は、対戦相手が誇りを持ち、喜びを感じている『強み』を探す。」という説明から始まっている。相手の強みをよく観察し、その力を利用し、相手の脅威に変えてしまうのが柔道戦略だ。

みなさんはSWOT分析(Wiki)を試したことがあるだろうか。自らの強み、弱み、機会、脅威に分けて分析していくお馴染みのツールだが、自らの組織で試すとどうしても感情が入ってしまい、客観的に分析するのは意外と難しい。これを競合相手の組織について試してみて欲しい。分からない部分については仮定で構わない。冷静に分析すると強みが脅威に、弱みが機会になり得るのがよく分かる事に誰もが新鮮な驚きを感じるはずだ。

あらゆる「もの」は発生と同時にその他の「もの」が必ず変化し始める。

勝ちパターンもそれを続けることで、重心が中心から少しずつずれてゆく。出発点では顧客のニーズを考えて生まれたビジネスも、やがて「いかにしてわれわれの『勝ちパターン』に相手をはめ込むのか?」が目的になってしまう。顧客ニーズは常に変化し、勝ちパターンは形骸化してゆく。

市場のリーダーといえども、自らの勝ちパターンを常に陳腐化させなければいけない。

Today's Questions.
Q:現在急成長している会社を1社挙げて下さい。
Q:その会社の勝ちパターンが1年後も勝ちパターンですか?
Q:5年後、10年後はどうでしょう?

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8月20日”価格戦略は顧客に合わせて価格をつける。”
3番目の起業家戦略についての説明です。

2009年8月18日火曜日

”創造的模倣はリーダーの地位にある者を追い抜く。”

 
本日の内容は、4種類の起業家戦略の2つ目の戦略、「二番手戦略」について説明されている。

二番手戦略は、総力戦略によってリーダー的地位に立ったライバルを十分に観察し、よりよい製品やサービスを提供していくことでトップの座を奪う戦略で、非常に強力な戦略と言える。同じ市場に対し、より良いものを創造する方法について、ドラッカーは「創造的模倣(直訳:クリエイティブな真似)」と呼んでいる。

世界のものづくりを変えた、トヨタ生産方式の「カイゼン」においても、まず現状を否定し、全く異なる方法でより効率的に同じ目的を達成することに重きを置いている。日頃、何かを目にして「もっとこうすればいいのに・・・。」と考える力は日本人のDNAに深く刻み込まれたわれわれ共通の「強み」かもしれない。

[身近に目にする二番手戦略、成長のプロセス]
1)総力戦略のリーダーが新たな製品(またはサービス)を開発
2)顧客に提案し、製品(またはサービス)に対して理解を深める
3)同時に「もっと・・・だったらいいのに。」といった市場の評価が始まる
4)提案からスタートする総力戦略のリーダーは、顧客の声を拾いきれない
5)二番手戦略の企業が、顧客の声に注目し始める
6)より顧客のニーズに応える製品(またはサービス)を開発
7)価格戦略(8/20掲載予定)と組み合わせ、総力戦略の市場を獲得してゆく
8)総力戦略のリーダーは防戦一方になってしまい、イノベーションが更に減速
9)シェアが急速に変化し、二番手戦略企業が市場のトップに躍り出る。
10)そして、別の企業が二番手戦略を使い、新たな参入を試みる。

この戦いはボクシングのチャンピオンと挑戦者の関係に似ていて、ベルトは一所にとどまることなく、常に動くことになる。

Today's Questions.
Q:二番手戦略をとっている製品(またはサービス)を3つ挙げて下さい。
Q:それらは、具体的にどうしたら市場のリーダーになることができますか?

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8月19日”柔道戦略はリーダーの地位にある者の隙間を突く。”
二番手戦略の説明が続きます。

2009年8月17日月曜日

”起業家戦略の筆頭は総力戦略である”

 
ツール・ド・フランスの様な自転車のロードレースをTVでご覧になったことがあるだろうか?レースでスタート直後にダッシュしてゴールまで逃げ切れる選手はまずいない。それは先頭選手には大きな空気抵抗やライン取りの難しさ、ペース配分の難しさ、追われる側の不安感など、大変不利な条件が揃った立場であるからと言える。

「総力戦略」とは、この「先行逃げ切り」を狙った戦略である。顧客も予想しなかった様な新しいサービスを生み出し、顧客に理解させ、今までにない市場を創り、全勢力を投入してその市場を占拠する、といったイメージだ。

新製品、サービス、プロセス、市場をゼロから構築する必要があるため、対象となる市場が大きいほど相応の体力が必要となる。成功した暁には大きな収穫が見込めるが、その後のリスクは極めて大きい。

なぜなら、戦略の成功そのものが二番手を生み出す基盤作りになってしまうからである。

Today's Questions
Q:総力戦略で思いつくサービス(または商品)を3つ挙げて下さい。
Q:それぞれのサービスに対して2番手となるサービスを挙げて下さい。
Q:1番手と2番手は、どういった点が異なりますか?
Q:今後もそれらの順位に変化はありませんか?それはなぜですか?

2009年8月16日日曜日

”創造性は格好がよい。問題は死亡率が高いことである。”

 
「千三つ」とは本来、不動産業において《まとまる話は千回のうち、三回の意(大辞林)》として使われ、不動産業者の事を「千三つ屋」と読んでいたらしい。

しかし、現代の「千三つ」といえば、ビジネスモデルの立案や新商品開発等のイノベーション・プロセスで使われる言葉、《千回チャレンジしたとしても、ものになるのはその内の三つ程度の意》を指す。

ドラッカーは、イノベーションについても体系的に取り組むことを促している。それによって、イノベーションの生存率を高めることができるからだ。

まずはじめに、イノベーション担当役員の下、イノベーションに特化したグループを形成し、自由な活動を保護する。

そして、7種類の機会を調べることからイノベーションの”種”を見つける。

1)予期せぬこと (予期せぬ出来事、成功、失敗等)
2)ギャップ (あるべき姿と現状のズレ)
3)ニーズ (欠けている部分の穴埋め)
4)産業と市場の構造変化 (IT、政治、景気等の社会変化)
5)人口の変化 (未来の年齢構成など)
6)認識の変化 (価格、利用目的、必要性等)
7)発明および発見 (アイディアによる発明→信頼性は低い)

これに平行し、そのイノベーションをいかにして武器にしていくのかを、4種類の起業家戦略を検討することで明確にする。(※各戦略の詳細については今後数日間で説明する予定。)

1)総力戦略
2)二番手戦略
3)価格戦略
4)ニッチ戦略

戦略は1つだけではなく、2〜3つの組み合わせによって構成し、経営資源を集中して投下する。


Today's Questions
Q:予期せぬ失敗を機会にできますか?
Q:どの戦略を組み合わせて戦っていますか?
Q:今後、戦略を変更する必要がありませんか?それはなぜですか?

2009年8月11日火曜日

”成功するほど財務見通しの欠如が命とりになる。”

 
ベンチャーのトップは、財務に無関心な事が多いのではないだろうか。

事業拡大を焦るあまり、急激な人の採用や教育、事務所の移転、PR活動、経験のない事業への進出等々、キャッシュフローの悪化を招く様な活動が増えてしまう。しかし、そうした状況でも右脳型リーダー(クリエイター、技術者、芸術家等)が財務状況に注意を払わず暴走してしまうというのはよく見る光景だ。

”マーケティング界のドラッカー”と称される故セオドア・レビット氏(元ハーバードビジネススクール教授)は、「どのようなタイプのビジネスであろうと、『財務(金)』と『マーケティング(顧客)』が二大活動なのです。」と説いている。

若干、乱暴な印象を受けるこの言葉だが、日を追って実感している。組織では財務とマーケティングの専門家が常にコミュニケーションを取りながら連携していくことが大切だ。

2009年8月10日月曜日

”事業の目的は顧客を変えることではない。”

 
「設立間もないベンチャーに特有の病が市場志向の欠如である。」という一文が印象的なページだ。

一昔前のネット系ベンチャーキャピタルの関心といえば「革新的な技術力」であった。今までに類を見ない新たな技術によって他のサービスを圧倒し、急速な成長を遂げてくれそうな支援先を必死で探していた姿が懐かしい。

だが皮肉なことに、そうしたキャピタルの支援を受けるベンチャーがことごとく圧倒していたのはコンペティターではなく、彼らの主たる顧客であるユーザであった。当時は通信回線の利用料が高く、ネット利用がピークを迎えるのは22〜23時頃。ユーザは限られた時間で簡単に楽しめるサービスを必要としていた。全く新しいサービスを学習するための時間が十分ではなかったのだ。

「主体変容」とはカリスマ教師の原田隆史先生が伝える言葉だが、組織自身にもこの意識がないと顧客からの信頼は得られないことになる。自己都合を言い訳に顧客を変えようとする行為は事業の目的から外れるはずだ。

2009年8月8日土曜日

ドラッカー塾・成果発表会にて発表させていただきました。

 
去る6月22日、ダイヤモンド社様とドラッカー塾の国永先生からご依頼賜り、石山記念ホール(東京・渋谷)で行われたドラッカー塾・成果発表会にて、弊社のドラッカー思想に基づいて実践した様々な取り組みや受講後の個人的心境の変化などについてのご紹介をさせていただきました。

ご参加されたみなさま、慣れない発表でお聞き苦しい点も多かったと存じますが、大変熱心にご清聴いただき誠にありがとうございました。

2009年8月7日金曜日

”企業研究所そのものが社会的イノベーションだった。”

 
1900年、創業から8年目を迎えたGE(米ゼネラル・エレクトリック社)が全米で初めて企業内研究所を設置した。

当初は研究者シュタインメッツ家の裏庭にあった納屋を利用し、たった3人からスタートしたこの研究所、1908年にはタングステン・フィラメントの開発に成功し、GEの創設者エジソンが発明した白熱灯に圧倒的な耐久性をもたらした。

同研究所の設置は「市場が希望する性能を追い求める」という目的から始まっている。決して技術の押し売りをするのではなく、顧客志向を全うするための技術であった点こそが、GEの市場地位を確実なものにしたのだろう。

マーケティングとイノベーションは同時進行させなければならない。

参考文献
日本ゼネラル・エレクトリック(GE)株式会社:研究開発の伝統
Wikipedia:白熱電球

2009年8月6日木曜日

”薬さえ意図せぬ治療に使われることがある。”

 
「予期せぬ出来事」への反応がイノベーションの命運を分ける。

人は、今日を昨日と同じ日にするため、環境の変化や顧客の意外な行動に鈍感になってしまう。市場の変化が自らに「新たな行動」を必要とすることになるのを無意識の領域でよく理解しているからだろう。変化に鈍感になることで、顧客からの要望に言い訳で対抗し、”為されるべき事”から逃げてしまうのだ。

こうして、多くの人はイノベーションを嫌う。だからこそ、そこには大きなチャンスが眠っている。いかに顧客のことを考えて行動しているのかを顧客は瞬時に感じ取るものだ。

まずは現在の顧客や今後顧客になりうる人との接点をリストアップ(例:電話、メール、打ち合わせ、クレーム、納品時 etc.)し、それらに携わるすべてのスタッフが、日々の小さな変化や顧客の意外な行動について気軽に報告できる仕組みと雰囲気作りが大切である。
 

2009年8月5日水曜日

”他者による陳腐化を防ぐ唯一の方法は自らを陳腐化させることである。”

 
ボトムアップで「この活動を止めても良いだろうか?」を検討する、継続的な”止める化”を定例化しよう。

「この活動を止めても問題ないか?」を問い始めると、「問題とは具体的に何を指すのか?」「社内の問題か?それとも顧客に発生する問題か?」といった具合に、今までとは全く異なる視点で事業を観察することができる。

「顧客がわれわれに期待する価値は何か?」「そもそも、われわれの成果やその評価手法は?」強いてはわれわれの使命についても理解を深める必要が自然発生してくる。

「止めないにしても、どう修正するか?」「それはなぜか?」

これら問いから逃げてしまっては、何も止められないし、何も始められない。