本日のページには、4種類の起業家戦略の4つ目「ニッチ戦略」にも弱点があることが説明されている。収益性が高いといわれるニッチ戦略の弱点は、旨味のある期間がそう長く続かない点だ。
ここではニッチ戦略をとる企業にとって、2つの脅威が紹介されている。
1)技術の変化によって、必要とされなくなってしまう。
2)市場が急速に拡大し、もはやニッチ市場でなくなってしまう。
パソコンに使うお馴染みの入力デバイス「マウス」を例にしてみよう。
数年前まで、全てのマウスの裏にはゴムでカバーされたボールが入っていたのはみなさんご存じだろう。今となってはボール式のマウスを使っている人は全体の3割に満たないそうだ。
ボール式マウスが主流の時代、マウスのスムーズな使用感を左右していたのは内部のボールを転がす「ベアリング」を製造するメーカーだった。単価は小さいが、数少ないメーカーが専門技術によって膨大な量を生産する、まさにニッチ市場であったはずだ。私も含め、誰もがこの構造が変わることはないだろうと考えていたのではないだろうか。
市場規模が拡大するにつれ、「どういう技術なら、この方法をリプレース(置き換え)できるだろう?」と思う人の数が増える。イノベーションは、なんとボールという可動部品なしのマウスというカタチで実現されてしまった。
現在主流の光学式マウスが誕生した時、これらのベアリングメーカーはどう感じただろうか。また、どの時点で脅威を感じたのだろうか。無論、ベアリングメーカーが自社で光学式マウスを作り始めることはまずもって不可能だ。あまりにも基礎技術が違いすぎる。ベアリングメーカーは自社のリソースを大きく割いていた高収益部門を全く他の業界に譲らざるを得なくなった。
光学式が登場して10年経たないが、すでにその市場シェアは7割を越え、同時にパソコン市場そのものも急速に拡大している。ただ、一口に”光学式”といっても赤外線、LED、レーザー等、使用感をより良くするための新たな技術が次々に登場し、入力デバイス市場の変化する速度はますます速くなっており、そこに参入するそれぞれがニッチトップを狙っている。
ドラッカー教授は、”脅威は常に外にある。”と伝えているが、技術革新が活発化する昨今は、特にこれを実感することが多い。一瞬にして主力の仕事を全て失う可能性もあるという、製造業である当社には極めて都合の悪い事実だが、この事実と真摯に向き合い、陳腐化とイノベーションを体系化して行いたいと思う。
Today's Questions.
Q:現在携わっている産業とは別の産業の見本市に出向いていますか?
Q:今の技術が全く他の技術で実現する可能性はゼロですか?
Q:他の技術に今から着手し、今の顧客に提案することはできますか?
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8月25日”重要分野でリーダーシップを握る”
明日より数日間、”研究開発戦略”についての説明が続きます。
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