本日のページは、ダイヤモンド社(日本)で1994年に出版した『すでに起こった未来』の最終章に書かれたドラッカー教授の回想について触れられている。
「すでに起こった未来(ダイヤモンド社)」という本は、ドラッカー氏が1946年から50年近くに渡って書いた論文を集めて構成されている。その最終章(24ページ)にはドラッカー教授の”知的な遍歴(intellectual autobiography)”として、”ある社会生態学者としての回想”が記されており、社会における彼の使命について改めて明確化する内容となっている。
彼の仕事は二十歳の頃から感じ始めた「継続と変革の相克(そうこく:相いれない二つのものの、せめぎあい。)に対する関心から始まったと言ってよい。」とし、社会生態学の目的は、すでに起こった未来を知覚し、次なる正しい行動のために「継続や維持と、変革や創造とのバランスを図ることである。動的な不均衡状態にある社会をつくることである。そのような社会のみが、真の安定を保ちうる。そして、結合力をもちうるのである。」としている。
たしかに、真の安定とは、常に変化する状態を率直に受け入れることからスタートするのだと思う。我々にとって”安定”を、「変化しない状態」としてそれを期待するのであれば、そんなものはそもそも存在しないのかも知れない。人体を例にとっても、何一つとして同じ瞬間は存在しない。我々の細胞や思考の一つひとつが刻々と異なる時間を送り続けているのだ。
みなさんは、心理学用語の「ラポール(Wiki)」という言葉をご存じだろうか?ラポールとは、元来フランス語で「橋を架ける」という意味があるそうだが、心理カウンセラーと患者であるクライアントの間で信頼関係が築けている状態を指す。そしてこれを実現するためには、カウンセラーは絶対的な対等性をもって相手に接し、クライアントの心に起こっている”全て”を受け入れる必要がある。
私がドラッカー教授に最も魅力を感じるのは、彼の底知れない愛情だ。ドラッカー教授は1対1の人間関係に終わらず、”社会全体とのラポール”が取れていた方だと思う。今、目の前で起きている現実を一時の感情で跳ね返したり、逃げるのではなく、彼はたった一人でぐっと受け止めた。そしてそれを社会全体の機会に変えるため、正しい選択に必要な思考の体系化を図ったのだ。
まずは組織に関わる全ての方々と共に、変化を受容し、よりよい選択をしていきたいと思う。
Today's Questions.
Q:人、モノ、お金、出来事、情報の中で、最もラポールをとれているのはどれですか?また、最もラポールを取れていないのは何ですか?
Q:身の回りで起きる出来事や情報。そのそれぞれの意味は?
Q:なぜ、それがあなたの目にとまりましたか?
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9月1日”仕事のできる者はまず時間に手をつける。”
時間は誰もが共通に持つリソースであるにも関わらず、その使い方次第に大きな違いをもたらします。明日もお楽しみに。
追記:妻曰く、「綱渡りをする人は、常に不安定でないと安定しないということだね。」納得。
返信削除That's true. I think all we're being hang in the balance since we have born and it keep on until the day we die.
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