本日の”ドラッカー 365の金言”は、「断絶の時代」からの抜粋で、活動に評価尺度を持つ重要性について。
営利・非営利に関わらず、あらゆる組織は何らかの目的すなわち”使命”を持っている。組織を取り囲む環境は刻一刻と変化するため、活動自体がそれと同時に陳腐化し、瞬く間に環境にそぐわないものになってしまう。
この”組織の惰性”を防ぐには、自らの組織がどの程度の成果を上げているのかを常に明確にする必要があり、そうした”組織の健康チェック”のためにも、まずは活動を評価するための”ものさし(評価基準)”が必要なのだ。
このページにもあるとおり、「収益性」というものさしは一つの客観的評価基準と言える。企業の場合、「主たる顧客に選ばれているか?」という答えが収益性に”比較的”ダイレクトに現れるため、評価しやすい。個々の活動を収益性という視点で見える化することで、著しく非生産的な活動を体系的に廃棄することも可能だ。
しかし、非営利活動の評価については少し注意が必要だ。なぜなら非営利組織の収益基盤は、一般的な企業のそれとは大きく異なる。一般企業は通常、直接的なお客様、すなわち”主たる顧客”から収益を得る一方で、多くの非営利組織は、スポンサーや市民等からの募金等、”パートナーとしての顧客”からの支援が収益基盤である場合が多い。
よって、収益性やどの程度の予算で活動しているのかというものさしだけでは、その非営利活動の成果をダイレクトに評価するには至らない可能性が高い。
つまり、非営利活動においては、製品やサービスを直接提供する相手となる”主たる顧客”が減少した際、その影響が収益性や予算に現れるまでの”時差”が致命的に長くなってしまうのだ。収益性の悪化を確認した時には”時すでに遅し”ということもあり得る。
もちろん、企業においても同様の事が言える。収益性という評価尺度だけでは十分とは言えず、使命の達成に向け、いかなる評価尺度を設ける必要があるのか、逆に言えば、「いかなる評価尺度があれば、使命の達成レベルが確認できるのか」を問う必要がある。
そうなってくると、組織の使命を再び考え直す必要が出てくるのではないだろうか?あわせて、顧客を誰に定めていくのか?という問いも浮上してくるかもしれない。
ドラッカー教授は、非営利活動が自らの活動を顧みるために、これらの問いを「ドラッカー5つの質問」としてまとめた。
①われわれのミッション(使命)は何か?
②われわれの顧客は誰か?
③顧客にとっての価値は何か?
④われわれにとっての成果は何か?
⑤われわれの計画は何か?
本日のキーワード、”評価尺度”を定めるにあたり、まずはこの「5つの質問」に対する答えを探す旅に(できれば同じ組織の方と共に)出る必要がある。誤った評価尺度を定めてしまうと、経営資源をあっという間に浪費してしまうからだ。
私も本年最初の読書として、この「経営者に贈る 5つの質問」を読み直し、今後の組織の方向性を再検討したいと思う。
Today's Question.
Q:使命と評価尺度がリンクしていますか?
Q:あなたの顧客が価値を感じる瞬間はどこにあり、それをどの様にすれば見える化できますか?
Next Page is...
1月5日”死臭を防ぐことほど手間のかかる無意味なことはない。”
体系的な廃棄のお話です。明日もお楽しみに。
0 件のコメント:
コメントを投稿