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2010年1月25日月曜日

”知識労働者は自らの成長に責任をもつ。”(P.F.ドラッカー)

 
本日の”ドラッカー 365の金言”は、「創生の時」からの抜粋。

「創生の時(Drucker on Asia)」という本は、ダイエー創業者の中内功氏とドラッカー教授が1994〜95年に渡って手紙でやり取りした内容を往復書簡としてまとめている。

個人、企業、社会に今後いかなる変化が訪れるのか、といった点について二人が率直な意見を交わす様子が新鮮な一冊だ。

さて、本日のページには「自己再生」というタイトルが付いている。”技能”より”知識”を重んじる現代の労働において、知識の価値は急速に陳腐化してしまうので、常に自らを再生(reinvent)する必要がある、といった内容だ。

ドラッカー教授がここで、「活性化(revitalize)ではなく、あえて再生(reinvent)という言葉と使いたい。」という様に、「より良く…」だけでは通用しない時代が既に訪れている。

現在携わっている仕事が5年後も同じやり方であると自信を持って言える様な仕事など殆どないように感じられる。長年働くことを考えれば、たしかに”自己再生”し続ける必要がある。

理屈では理解できる。しかし、そう簡単に自己再生といっても、人はいくつも全く違うことができるわけではない。よって、仕事自体が数年で様変わりしていくのは、本人にとって非常に大きなストレスとなりかねない。個人的に感じるのは、仕事にプライドを持って取り組む人ほど、変化に対しての精神的ダメージが大きい。

なぜなら、今まで培ってきた技術や知識が、変化の波に全否定されたかのように捉えてしまいがちだからだ。この点、仕事を与える側も十分に注意しておかなければならないと感じている。

強みに基づいた”自己再生”でないと、失敗する可能性が高い。

例えば、当社の工場ではここ数年、現場作業のローテーションをかなり本格的に行っている。これまでは各工程をベテランの力だけに頼っていた20種類近くの異なる仕事を、その部署の作業者全員が担当できるようにしている。

このような管理方法を改善により、生産性向上はもとより、パートの方が比較的平等に休めるようになったり、苦労を分かち合う事でチーム感が高まったりと様々なメリットがある。

しかし、これだけだとベテランにとっては”活躍しにくい職場”になってしまい、比較的ベテランが辞めてしまいがちなことが判明した。本人にとっては「あなたが居ないと困る。」と言われていたのが、(極端に言えば、)「あなたが居なくても大丈夫。」と言われているようなものだからだ。

この経験から、我々管理者には、作業者本人の”喜びの本質”がどこにあるのか?を見定める必要もあるということを学んだ。

他の作業員に較べ、難しい作業を圧倒的なスピードでこなす人にはそれなりの目的や理由が存在する。何らかの強迫観念に駆られている場合はその必要がないことを理解してもらう必要があるし、それを楽しんでいる場合には他の仕事を通じて同様の喜びを得てもらう必要がある。

大変な仕事を担当しているからといって、その負担を軽減するだけではその人の喜びの本質を理解できてないということだ。まずはその人の強みが今の仕事にどう活きているのか?という点を見定め、新たにその強みを発揮できる場所を探す必要があるのだ。

確かに本人の”生まれ変わる”意志は重要だと思うが、「本人の強みをもって取り組めば今まで以上に活躍できるはず」であると上司が信じられなければ、”自己再生”は非常に難しい様に思う。

今までと全く異なる仕事をすることになった人には、少なくとも「あなたのこういう強みを、次のこの仕事で、このように活かして欲しいと思っている。」としっかり伝える必要があると思う。


Today's Questions.
Q:強みに基づいた人事異動をしていますか?
Q:仕事が数年で様変わりする可能性を全員に伝えていますか?

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1月26日”継続と変革の両立こそ 文明にかかわる中核の問題である。”
明日は”社会生態学”について。お楽しみに。

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