本日の”ドラッカー 365の金言”も、「すでに起こった未来」からの抜粋。
一昨日(1月20日)の記事と同様、ドラッカー教授は”経済”の重要性には理解を示しながらも、それがあくまでも手段に過ぎず、目的にしてはならないことを伝えている。
経済は絶対的な決定要因ではなく、制約要因に過ぎない。経済的な欲求や満足は、重要ではあっても絶対ではない。そして何よりも、経済活動、経済機関、経済合理性は、それ自体が目的ではなく、非経済的な目的のための手段にすぎない。(「すでに起こった未来」より)
上の引用で気になるのは「非経済的な目的」という言葉。原著「The Daily Drucker」では「noneconomic (that is, human or social)」とある。
要するに、”経済学”という一つの側面しか見ない机上の学問をもって、”人と社会”といった常に揺れ動く存在を完全に説明することはできないことをドラッカー教授は伝えたかったのではないだろうか。
このページに登場するジョン・メイナード・ケインズ(1883-1946)。ケインズの”有効需要創出”理論では、景気が悪いのは需要が低下しているからであり、新たな需要の創出に政府が関与することで、雇用や経済を回復することができる、としていた。
実はアメリカの第32代大統領フランクリン・D・ルーズベルト(任期:1933-1945)によって実現した”ニューディール政策”は、世界恐慌に苦しむアメリカがそこから脱出を図るため、このケインズの理論に基づいて実行されたものだった。
世界中で今まさに行われているとおり、やみくもに国債を発行しつつ、公共事業を増やし、法律を変えた。
学生時代、私たちはこの”ニューディール政策”について、政府主導の景気回復策として希に見る成功事例として華々しいストーリーのみを教えられたが、事実はそれより程遠いものだったようだ。
失業率は1930年代後半になっても失業率は依然として低下せず、過剰な生産設備は動かないままの状態が続いた。
結果、ケインズが恐れていたとおり、1941年12月8日、ルーズベルトも真珠湾攻撃に端を発する太平洋戦争を通じて戦争による需要創出に乗り出してしまった。
(無論、アメリカだけが悪かったわけではなく、世界中が戦争を通じて大量な犠牲者を生みながらも雇用の確保するに至った。)
ナチスドイツの勃興を目の当たりにしてロンドンに移住したばかりのドラッカー(当時は投資銀行勤務)が、ケインズの講義を聴講したのは1934年のこと。彼はアメリカの未来も予測していたに違いない。
今、世界はまた同じ様な悲鳴を上げながら、当時と同じ様な道を歩んでいる。
「誰のための、経済なのか?」
我々、一人ひとりが問われている。
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1月25日”知識労働者は自らの成長に責任をもつ。”
明日、明後日の2日間はお休みとなります。次回は25日(月)となりますので、ご了承下さい。ではみなさん、よい週末を。
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