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2009年12月29日火曜日

”「同族企業」にとってのキーワードは「同族」ではない。「企業」である。”(P.F.ドラッカー)

 
本日の”ドラッカー 365の金言”は、昨日に引き続き「同族企業」について。国内全企業の9割以上を占める一族によって運営される同族企業が守るべき4つの原則(以下参照)。上手に運営するためには”家族”ではなく、”ビジネス”として再認識することにある、としている。

①一族の人間は、それ以外の者と比べ、少なくとも同等の能力と勤勉さが必要である
②経営チーム(役員や経営幹部)のポストの一つは必ず一族以外の人を就かせる
③重要な地位を一族以外の人に任せるのを躊躇しない
④会社承継について、外部の仲裁者を”一族以外”かつ”現業の取引関係以外”で持つ

上記の内、①と③については当然との認識が浸透していると思うが、個人的に特に重要だと感じるのが②と④だ。

②については、中長期的に考えても適任者を探したり育成すると良いと思う。たった一人でも一族以外の人間がいることで、役員会の場が単なる家族会議にならなくて済むはずだ。これがすぐに実現できなくとも、まずは自分が”仕事の上では一族との間に一線を引いて”プロとしての意思決定に徹することで、ある程度は対応可能かと思う。

一族で行う役員会についても、ドラッカー教授が言うとおり「私は」ではなく「我々は」の言動を貫こう。

④については特に深刻な問題だと考えている。私の周囲を見ると、多くの中小企業のトップ(65~75歳位)はまだ健在であったり、継承者不在のためか、承継プロセスを開始するきっかけが掴めていない。

当社含め、私の周辺で比較的早い段階でスムーズに承継できている企業は、兄弟が協力して承継している場合ぐらいではないだろうか。

残念なことに、トップ(勿論多くの場合は父親)は口では「後継者が育たない」と嘆きながら、実は「死ぬまで現役」と決心しているのではないかとまで感じる様な言動も目立つ。

こうした組織では現状のまま時間だけがずるずると過ぎており、トップの個人的趣味や夢を実現する場になってしまっていたりする。

仮に後継者(多くの場合、息子や婿)がいたとしても、組織内でいつまでも重要な権限と責任を与えられないため、仕事を通じて成長できない自分自身の将来に大きな不安を抱えており、モチベーションも極めて低い。

さらに、しばらくすると現業とは殆ど関係のない、地域の団体等から非営利活動への参加依頼の声がかかる。30〜40代の最も貴重な時間の大部分を、比較的”責任の薄い”現業以外の組織に投じてしまうのだ。

この状態が長引くと、「能力がある自分が会社を継げない原因は、自分ではなく、自分をとりまく環境にある」という認識が強まってしまい、経営者として極めて重要な”自ら全責任を負う習慣”の体得がますます難しくなってくる。

これはあまりにももったいないと思う。実際、事業承継には様々な専門知識が必要となるため、後継者本人だけで進めるのは困難だろう。各当事者の複雑な感情や資産管理も含めて総合的に判断できる、誠実かつ中立的なコンサルタントに出会うと安心だ。(希望があれば、紹介可能です。)

さて、事業承継の話で終始してしまった感があるが、要するに同族だからといって、他の組織と較べて特別なことなどあまり無い。難しいことではあるが、個人的な感情はさておき”組織として、なされるべき事は何か?”が役員会で議論されるまでは、いつまでも社内の失笑や憤りを招くばかりの組織になってしまうだろう。


Today's Question.
Q:トップが後継者や社員を信頼していますか?
Q:役員会の開始時間が守られていますか?

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12月30日”欠けているものは何かを考えなければならない。”
今年も残すところあと2日となりました。明日はイノベーターの仕事について。お楽しみに。

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