本日の”ドラッカー 365の金言”は、未来のための戦略的プランニングにおいて我々が注意すべき点について説明されている。
ページのタイトル部分に”不確実性時代”とあるが、先の見えない現代において生き残るには”変化を読む眼”、すなわち”すでに起こった未来”を察知する能力がクリティカルといえる。
我々の身の回りには、やがてやってくる環境変化のヒント(氷山の一角)が散在している。そのヒントを感じながらも、いつまでも見過ごしていると、恐れていた変化の波に足をすくわれてしまうことになりかねない。
The question that faces the strategic decision-maker is not what his organization should do tomorrow. It is "What do we have to do today to be ready for an uncertain tomorrow?"(P.F. Drucker, "The Daily Drucker", p.342, Harper Business)
戦略的意志決定者にとって重要な問いは、「明日、組織が何を行うのか?」ではなく、「不確実な明日に備え、我々が今日しておかなければならないことは何か?」である。(同上 中村克海訳)
先週、興味深い”すでに起こった未来”を見た。場所は東京ビッグサイト。東京国際航空宇宙展に出展中の当社ブースは入り口付近にあり、会場に訪れたばかりの来場者を観察する機会を得ることができた。
ここで感じたのは、航空宇宙産業について全く知識のない来場者が非常に多かった点だ。来場者の服装や質問の内容から、それらの方々がどの辺りの業界関係者かを感じ取ることができた。
服装はスーツではなく、カジュアルなジャケットで、肩から鞄を肩から提げている。取引先を探すというよりは、学びに来ている雰囲気で、質問についても以下のようなものが多かった。
・どうやってこの様な(高精度な)部品を加工できるのか?
・設備はどんなものを使用するのか?
・航空宇宙産業に参入するにはどの様な資格が必要なのか?
・部品の単価は?
・多品種少量生産は儲かるのか?
・営業はどうしているのか?
・顧客と話し合いながら仕様を決めるのか? 等々
質問の全てに丁寧に答えた後、今度は逆に質問してみると、予想どおりその方々が新規参入を目論む自動車部品メーカーの社長さん達である事が分かったのだ。
なぜ彼等がこのような展示会に来るのかは容易に想像が付く。長引く不況と電気自動車の台頭により、自動車の販売台数だけでなく、自動車の部品数も数分の一になることが予想されている。
自動車部品メーカーの多くは売上の8〜9割以上を自動車部品の生産に充てているため、それらの部品が不要になってしまう事で、非常に多くの部品メーカーが廃業を余儀なくされてしまうことが予想されている。
今後の成長産業と言われている航空宇宙産業への参入を目指すのはある意味、当然と言えるだろう。
同展示会の体験から学べる未来のワースト・シナリオを想定してみたところ、「数年以内に(これまでは付加価値の高かった)航空宇宙部品の業界にも熾烈なコスト競争が始まり、5年後には深刻な値崩れを起こしている。その時には利益が出る部品はごくわずか。」といった恐ろしい光景がある種、自動的に見えてきた。
この仮説を踏まえ、今日の組織の活動を変化の波に耐えうる体制に変化させなければならない。このケースでは、新たな人脈作りや加工の高度化、他産業への進出によるリスク分散等だ。
”知覚する”ことはアンテナさえ張れば誰にでもできるが、そこで感じたことに向き合い、責任を持って行動に変えられるかが、組織の環境順応力が問われる重要なポイントなのだと思う。
Today's Questions.
Q:目の前で起きている”すでに起こった未来を”感じないでいようと思っていませんか?
Next Page is...
11月9日”未来は望めば起こるわけではない。”
本日の内容とも重なりますが、重要なので。明日もお楽しみに。
0 件のコメント:
コメントを投稿