本日の”ドラッカー 365の金言”は、人選において注意すべき点について触れられている。強みに焦点を合わせた人事については、ここ何日かの内容でじっくりと触れてきた。
強みに焦点を合わせるという意味において、本日のページで印象的なのは、以下の2点だ。
①大きな強みをもつ人の殆どは、大きな弱みも持っている。
②人の強みはせいぜい1〜3つの分野においてのみ発揮される。
以上の点からも、いかに強みに焦点を合わせるのかがよく分かるのだが、ドラッカー教授はこう付け加えている。極めて重要な内容なので、原著の文を私なりに訳してみた。
「ひとつだけ、”弱み”そのものが重要性や妥当性を持つ場合がある。それは『品位(character)と真摯さ(integrity)の欠如』である。それら自体は何も成し遂げないが、それらがなければ、他の全てを台無しにする。これが唯一、”弱み”が人選においての絶対的な基準になるところである。」(「The Daily Drucker」p.288 中村克海訳)
要するに、いかにその者に類い希な強みがあったとしても、品位(character)と真摯さ(integrity)が欠けているのであれば、その者に権限を与えてはいけない、という意味だ。
では、この「integrity(インテグリティ)」とは具体的にどういう意味か?意外にも的確に表現する言葉が日本語に見つからないが、辞書を覗くと、「誠実さ、高潔さ、道徳的、一貫性」などが記されている。
個人的に「integrity(インテグリティ)」の意味合いとして適切と感じているのは、武士道でいう「気高さ」である。そう、われわれ日本人の一人ひとりに既に備わっているべき心だ。
「武士道(PHP研究所)新渡戸稲造著、岬龍一郎訳」には「高き身分の者に伴う義務」という言葉が見つかるが、これこそが「integrity(インテグリティ)」という言葉の解釈する上で重要なヒントであると思った。
親日家で有名なドラッカー教授が、人選の上で絶対的な基準として挙げている「品位(character)と真摯さ(integrity)」を理解するにはとても参考になる本だと思うので、今一度、読み直したいと思う。
ドラッカー教授は生前、「今後の世界をリードしていくべきなのは、日本の若きリーダー達だ。」と話していたが、その言葉の意味がとてもよく分かる本なので、みなさんにもお薦めしたい。
Today's Questions.
Q:仕事の能力だけで人事をしていませんか?
Q:トップが率先してintegrity(インテグリティ)を高めていますか?
Next Page is...
9月21日”優秀な人たちが連続して失敗する仕事は後家づくりの仕事である。”
ドラッカー教授の表現で”殺人的な仕事”の問題についての紹介です。お楽しみに。
0 件のコメント:
コメントを投稿