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2009年9月22日火曜日

”問題が起こったときに手を貸せないのであれば意思決定に関与してはならない。”

 
本日の”ドラッカー 365の金言”は、高齢の役員について注意すべき点が紹介されている。この中でドラッカー教授は、60代半ばを越えた役員はマネジメントの責務から解放する必要がある、と伝えている。今日の意思決定の結果が現れる数年後、その場にいない可能性がある役員は、意思決定に関与すべきでないという意味だ。

また、高齢の役員は独立して行える専門家としての仕事(助言、教育、基準の設定、紛争の解決等)に就かせるべきとも示唆している。

役員の定年についての妥当性は広く語られていると思うが、それが一体なぜなのかを問われることはあまり無い様に感じるので、この機会に私なりに考察してみた。

役員の定年についての議論は、その人(特にトップ)が70歳代に近づくにつれ、意思決定にブレが生じ易くなることに起因するものであると捉えている。

組織運営において、全ての意思決定は、"What do I want to do?(何がしたいか?)"ではなく、"What needs to be done?(何がなされるべきか?)"という問いから始まるべきだが、70歳代が近づくと同時に独特の”焦り”と”見栄”が邪魔してしまう、前者の問いが優先されてしまう様だ。

この点で、ハーバード・ビジネス・レビュー(2008年10月号)にて紹介されていた「『競争心』が意思決定を歪める」という論文は非常に参考になった。この論文では、”意思決定に深刻なダメージを及ぼしうる3つの原因”として、以下の3つが挙げられていた。

①敵対心
②時間的プレッシャー
③スポットライト

この論文では、例として、オークションで分不相応な高値の商品を落札してしまうメカニズムが説明されていたが、高齢の役員による、同様の”意思決定の失敗”においても原因は上記の3つに集約される様に感じる。組織としての判断ではなく、個人としての判断になってしまいがちなのだ。

①敵対心
「競争することによって、”何がなされるべきか?”を見失う。」
高齢の役員にとって、敵になり得るのは誰か?
・後継者
・家族
・他の役員
・同世代の他の経営者

②時間的プレッシャー
「焦ることによって、”何がなされるべきか?”を見失う。」
高齢の役員は何に対し、焦りを感じるのか?
・寿命
・定年までの残り時間
・仕事上の達成状況に対する不満

③スポットライト
「目立つことによって、”何がなされるべきか?”を見失う。」
高齢の役員は、どういう場所で目立ちたいと感じるのか?
・ロータリークラブ、商工会議所等の経営者の集まり
・社員の手前 など

以上、役員が高齢になるにつれ、正しい意思決定がますます困難な環境が整ってくる。早い段階で定年の規定を明確にし、円滑に次の世代に受け継ぐことを検討したい。


Today's Questions.
Q:高齢の役員が、「何がなされるべきか?」に基づく意思決定ができていますか?

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9月23日”データに意味があるかないかが最大の問題である。”
われわれは往々にして意味のないデータに翻弄されてしまいます。データといかにして付き合うべきなのでしょうか。お楽しみに。

2 件のコメント:

  1. 初めまして。
    つい最近からですが、Twitterとともに、拝見させていただいており、勉強させていただいております。
    私のBlogに本エントリを引用させていただきました。
    これからも投稿楽しみにしています。

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  2. 初めまして。
    Twitterではお世話になっております。また、この度はブログにてご紹介いただき、誠にありがとうございます。
    この記事を投稿した後、「今回の話は”高齢の役員”だけの話ではないなぁ。」と思いを馳せていたところ、見事にフォローしていただいた様で、とても嬉しく思いました。
    今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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