本日の”ドラッカー 365の金言”では、「マネジメント[下]ー課題、責任、実践」に登場する、有名な三人の石切職人(石切り工)の話が紹介されている。知らない方のために念のため、ご紹介しておこう。
三人の石切り工の昔話がある。彼らは何をしているのかと聞かれたとき、第一の男は、「これで暮らしを立てているのさ」と答えた。第二の男は、つちで打つ手を休めず、「国中でいちばん上手な石切りの仕事をしているのさ」と答えた。第三の男は、その目を輝かせ夢見心地で空を見あげながら「大寺院をつくっているのさ」と答えた。(P.F.ドラッカー著、上田惇生訳「マネジメント[下]ー課題、責任、実践」、ダイヤモンド社)
ドラッカー教授は、「第三の男こそ、真のマネジャーである。」としている。
第一の男は、仕事で何を得ようとしているかを知っており、事実それを得ている。一日の報酬に対し一日の仕事をする。だがマネジャーではない。将来もマネジャーにはならない。問題は第二の男である。熟練した専門能力は不可欠である。(中略)しかしスペシャリストは、たんに石を磨き脚柱を集めているにすぎなくても、重大なことをしていると錯覚しがちである。(同上)
8月22日に起業家戦略として”専門技術戦略”の危険性について触れたが、この戦略を選んだ組織が「第二の男」になってしまい、遅かれ早かれ顧客から見放されてしまうといった光景は、我々の周りで頻繁に眼にする。
ここで少し例え話で考えてみたい。
「国際石切り加工技術展」という見本市が東京ビッグサイトで開催される事になったとしよう。三人の石切り工に告知の招待状を送ったら、それぞれはどの様に対応するだろうか?
第一の男は、「もっと楽に稼げる機械があるのなら、行ってみてもいいかな。」と思い、会場に向かうかも知れない。
第三の男も、「将来、大寺院を訪れる誰もが心奪われるような、美しい加工ができるノウハウに出逢えるかも知れない。それに、将来の顧客を見つけることもできるかも知れない。」と言いながら意気揚々と足を向けるだろう。
第二の男はどうか?私のイメージでは、招待状の封筒も開けず、既に破り捨ててしまっている。
こうして、9月25日にも触れた、外部の感覚器官の能力が考え方一つで大きく変わってきてしまう。使命や事業の目的を明確に伝えることで、各個人が担うべき貢献についても、本人が一言で説明できる状態にしておく必要がある。
Today's Questions.
Q:あなたは今、何をしていますか?
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9月30日”個としての仕事ぶりと全体への貢献の双方を評価する報酬システムが必要である。”
報酬システムのあるべき姿についてのご紹介です。明日もお楽しみに。
この例え話は以前教えてもらって知り、後輩達にも事ある毎に話しています。
返信削除中村さんの見本市の例えは、素晴らしいです。使わせていただきますwww
映画「第3の男」ならぬ、第2の男になっていないか、自省しなくては。