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2009年8月22日土曜日

”専門技術さえあれば競争を恐れることはない。”

 
本日のページには、4種類の起業家戦略の4つ目「ニッチ戦略」の一つ、「専門技術戦略」の説明が記されている。

この戦略と対照的な「専門市場戦略」については、明日のページで紹介されているので、是非この2つの戦略をじっくりと比較し、ご自分の組織が現時点でどちらの戦略に重心を置いているのか、または置くべきなのかを経営チームで検討していただきたい。

この2つの戦略を明確に区分けするのは困難であり、またどちらか片方が正解といったことではない。”場の空気”を読み、柔軟にそのブレンド率を変化させることが重要だと思う。あくまでも顧客から見た視点で次なる取り組みを決定していきたい。

さて、専門技術戦略は読んで字の如く、専門の技術を武器に市場を占拠する手法だ。一般的には製造業の発明などを特許で守る方法のみが当てはまる様に感じられるかもしれないが、それはほんの一部の要素だと思う。

技術は、知識から成る。知識には2種類の知識があると考えられている。野中郁次郎先生の説く、「形式知」と「暗黙知」だ。形式知は文書、図式、数式等で説明可能なカタチとして顕在化された知識を指す。一方、暗黙知とは、経験や勘など五感によって知覚したデータベース、いわゆる”暗黙の知”で、顕在化することが難しい知識を指す。

この両方の知識が専門技術戦略の「技術」を構成することを肝に銘じておきたい。

組織で考えてみよう。「形式知」は、企業理念に始まり、クレド、マニュアル、基準書、規定、図面、特許、資格、設備等を指し、「暗黙知」は直感、勘、雰囲気、空気、空間、感情、道徳観などその組織に関わる(全ての)人の五感が織りなす文化そのものを指すのだろう。

言うまでもなく、製造業の世界では、専門技術戦略にリソース(経営資源)を集中させる会社が多いが、その専門性の高い技術に極度に依存し、柔軟性を欠く関所をこしらえることで、顧客側の心理を無視してしまう傾向が強い。トップが技術者タイプや財務の専門家の場合はなおさらだ。

あくまでも事業の目的は顧客の創造であり、顧客の側から組織を見るのを怠ってはならない。顧客は、サービスの悪い”関所”から必ず逃げていく。

確かに専門技術戦略の利益率は高い。しかし、以上の様な意味で、超精密部品の製造という、精緻な”ものづくり”に携わる当社においても、「専門技術戦略」は”甘い罠”となって日々、私たちを誘惑してくる。

Today's Questions.
Q:サービスの悪い”関所”を築いていませんか? 
Q:顧客にとっての価値は何ですか?(ドラッカー5つの質問より)
Q:あなたの組織には、暗黙知を育てる仕組みがありますか?

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8月23日”専門市場戦略では小さな特別の市場をつくりだす。”
本日は長い説明をお読みいただき、本当にありがとうございます!いよいよニッチ戦略の説明も佳境に入りました。今後、あらゆる組織は、明日ご紹介する「専門市場戦略」なくして生き残れないのではないかと考えています。お楽しみに。

2 件のコメント:

  1. ここでもやはりバランス感が重要なのだと感じます。
    左脳的なマインド(ここでいう形式知)と右脳的なマインド(暗黙知)、ここをどう捉え、どう調和させ、どうバランスをとってゆくのか・・・そのあたりがカギなのではないか、と思うのです。

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  2. ありがとうございます!
    そうですね。最近流行のビジネス書の「あなたもこの武器さえあれば大丈夫。」的な安直な発想は、キャッチーではあるでしょうが、大量の依存型人間を作ってしまうのではないかと心配です。
    感じ、考え、行動する。これを無限ループですね。

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