本日の「ドラッカー365の金言」は、起業家戦略4つ目の戦略、「ニッチ戦略」の一つ、「関所戦略(Tollbooth Strategy)」についての説明だ。
個人的には今後の社会において最も深く学んでおくべき戦略が、この「ニッチ戦略」だと感じている。
まずニッチ(Niche)という単語の意味を改めて調べてみると、本来は生態学で使われる用語で、「地球生態系における生態的地位とその全てのリソース(環境、敵、時間、空間、餌 etc.)」を指すことが分かった。本書の原文「The Daily Drucker」の中では”Ecological Niche”というタイトルがついているのも頷ける。
なるほど確かに地球上には様々な生物が存在し、そのそれぞれが、どこで、何を食べ、どのレベルで繁殖し、何を担うのかが明確になっており、それぞれが適所に収まっている様に思える。ある意味、(地球生態系でニッチ(適所)を見つけられていないのは、人間だけかもしれない。
さて、せっかくなので「関所戦略」についても自然生態系の視点から観察してみよう。関所(Toolbooth)と呼ばれるのは、「あるプロセスの一部において、必要不可欠な存在」になることを指す。つまり、簡単に言えば「あなたなしでは、困ってしまう。」という状態である。
ふと思いついたのはミツバチだ。彼等は花の蜜を集めることによって花の受粉を助けている。もし彼等が花に乗らなければ花は受粉できないのだ。そうなったら生態系は大きく崩れてしまう。
もし、ミツバチが花に対し、技術料を毎月請求するとしたらどうだろう。それはかなり高価なものになるのではないだろうか?毎年値上げをしても、花を当面それを支払うしかない。しかし、長期的に見ると、この関係は崩れるのではないだろうか?自然は生きる道を見つける。いつしか花はその支払いを拒否し、ミツバチなしに受粉できる新たな方法を見いだすはずだ。結果、ミツバチも絶滅することになるだろう。
良くできた関所も、顧客の表情をよく伺いながら運営しないと、いつかは見捨てられてしまう。
Today's Questions.
Q:関所戦略に成功している企業、製品、サービスをいくつか挙げて下さい。
Q:関所戦略に失敗した企業、製品、サービスをいくつか挙げて下さい。
Q:その違いはどこにありますか?
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ニッチ戦略の一つ、「専門技術戦略」の紹介です。また、8月23日は「専門市場戦略」について、8月24日には「ニッチ戦略の限界」についての紹介が続きます。この辺りのページは(自分自身も)最も注目すべき内容だと思うので、週末中も可能な限り投稿しようと思います。 お楽しみに。
ビジネスも人の営み、つまりは自然の営みと同義的な部分もあるのだと思います。結局、生態系の枠から極端に飛び出すことは人間のエゴなのかという気がするのです。ゼロサムゲームではなくとも、あらゆるバランスで成り立っている観点に立つと結局どこかでツケは回ってくるのではないかと感じました。
返信削除全く同感です。
返信削除だからこそ、われわれの使命(事業)が何で、顧客が誰で、成果は何なのかを明確にしないと、組織は生態系を大きく崩してしまうんだな、と感じます。