本日の”ドラッカー 365の金言”は、労働組合の存在意義について。この中で、ドラッカー教授は「強力なマネジメントを必要とする現代社会においては、強力な労働組合が必要である。」とし、急速に変化する労働環境に即した労働組合活動が必要であることを示している。
労働組合の目的は、労働者の雇用環境の向上や諸条件の維持改善にある。しかし、近年は著しくその存在感が薄れてきており、全労働者に占める組合員の比率も、戦後は半数を超えていたが、現在では20%に満たない状態で、今なお低下し続けている。
では、どのような変化が労働組合員の弱体化を招いているのだろうか。
・組合のネガティブなイメージ
・特定政党への投票
・社会保障制度の一般化
・国内の生活水準向上
・非正規雇用者層の増大
・組合の要求内容と現実との乖離
・労働基準法等、法令遵守の意識向上
・ワンマン経営の減少
・経営状況の可視化
・会社側による雇用環境向上
少し考えてみても様々な要素が考えられる。
上記のそれぞれが労働組合の組織率の低下を招いていることは容易に想像できるが、個人的にこの中で特に問題として大きいと思うのは、労働組合が、急増するパート・アルバイト・派遣・契約・嘱託といった非正規労働者にとってメリットのある組織になっていない点だ。
過去20年間において、非正規雇用者の割合の推移を見ると、男性が8%だったのが20%近くに、女性では38%だったのが、今では半数以上に急増している。
しかし、労働組合の多くは中高年の正規雇用者で構成されており、積極的な非正規雇用者の保護は、自らの首を絞めることになると考えてしまうため、肥大するそれらの労働者を守ることができずにここまで来てしまったという感じだ。
以前に比べ、従業員を大切にする経営者も増え、一見労働組合は不要に見えるかも知れないが、検討すべき課題は従来とは異なる場所で発生している。その辺りについて建設的に意見を交わせる労働組合は組織全体にとってもメリットが大きい。
改めて労働組合の使命は何か?、顧客は誰か?、顧客にとっての価値は?といった問いについて整理する必要があるのではないだろうか。
Today's Questions.
Q:労働組合でなければ実現しないことは何ですか?
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10月27日”知識労働者とは同じ1つの階層である。”
知識労働者の政治性とは?明日もお楽しみに。
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