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2009年10月12日月曜日

”意思決定を行ってからその中身を売り込むのでは満足な実行は期待できない。”

 
本日の”ドラッカー 365の金言”は、「マネジメントー課題、責任、実践」からの抜粋。意思決定において、関係のある人全てを巻き込むことの重要性について説明されている。

本日のページでドラッカー教授は、「この点では日本的経営に見習うべきである。日本では最初から全員を巻き込む。」と、日本企業の紹介をしている。

我々の様に、国内の組織運営にどっぷり浸かっていると、まだまだ情報共有が不足しているように思えるが、海外の組織と比較すると、日本の組織のメンバーに伝わる情報量は圧倒的に多いことが分かる。

中国の製造業を例に取ると、トップと現場の作業員の年収は100倍以上も異なることも全く珍しくなく、そうした人達の間で、日本の様に対等な立場で十分なコミュニケーションが交わされること自体、非常に稀だ。

そうした職場では、悲しい程に両者のラポール(信頼関係)は築かれていない。上司は「部下に情報を教えるのであれば、自分の仕事の存在価値が危うくなる。」と思い、部下は「自分にそれほど大事な情報を渡すのであれば、まずは給料を上げてくれ。」と思ってしまうようだ。

よって中国の他、世界中の殆どの国では旧態依然としたトップダウン式のピラミッド型組織構造が当たり前で、部下が自ら考えて行動するような事自体、海外では御法度に近いものになっている。

そのため、海外の会社の多くでは”Job Description(職務記述書)”といった書類に極めて詳細に職務内容や、行ってはいけない事を記してそれを守らせる方法がとられてきた。

しかし、この手法も、急速に変化を続ける社会に順応するためには邪魔な存在になりつつあり、機械的なピラミッド型組織から、より有機的でフラットな組織への取り組みが先進的な組織で見られるようになってきた。

”Job Description(職務記述書)”から、”Position Description(職位記述書)”に変更し、役割を明確にしながら部署間を柔軟に動けるようにしたり、Googleの様に、完全に自由な時間を増やしたりすることで、開発を加速させる企業も急増している。

話を元に戻そう。こうした、有機的でスピーディーな組織には”知りたい情報にいつでもアクセスできる状態”というのが、極めて重要だ。

例えば、「ちょっとしたことを調べるのに、職場のパソコンやネットは使えず、図書館に行かなくてはならない。しかも事前に調査許可を役所からもらえないと本を貸してもらえない。」というのでは、調べる方も許可する方も疲弊してしまう。

知識労働には個々に必ず”選択”が伴う。選択が増えれば増えるほど、雇う側も、雇われる側も、大方では同じ方向を向いている、ということを信じ、お互いを信頼し、”なるべく早い段階から”情報をオープンにしなければならない。それによって初めて組織の絆も強まり、加速度的に成果を出しやすい有機的組織が育っていくように思う。

ハーバード・ビジネス・レビュー(ダイヤモンド社)の2008年8月号に「フェア・プロセス:協力と信頼の源泉」という論文は、非常に参考になった。中でも印象的だったのが、危機的経営状況において再建を狙う工場の話だった。

この話に登場する会社の経営者層は、社員に余計な心配をさせない様、社員に経緯を説明せず、生産性向上のコンサルタントに調査させていた。ろくに挨拶もしない無言でメモを取るコンサルタント達に、工場のスタッフは「きっと、リストラが始まるんだ。」という噂が蔓延してしまう。結果、トップへの不信感を募らせてしまった。

その後、改善活動が上手く進まず、その原因がフェア・プロセス(経緯の開示といった意味だろうか)の欠如にあったことに気付いたトップが、全員に向かって謝罪し、それから徹底的に情報を開示することで危機的状況を乗り越えることができた、という話だった。

世界中、起きていることは同じなのだな、とつくづく感じつつ、「”性悪説”に基づいて運営する組織は近い将来、完全に淘汰される」ことを確信した。


Today's Questions.
Q:部下や上司を信じる前に、自分自身を信じていますか?
Q:「だったらもっと早く言ってくれれば良かったのに。」と言われていませんか?
Q:重要な情報を扱う部下の真剣な眼差しを見ていますか?
Q:半年後、部下に今までより重要な情報にアクセスさせることができますか?

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10月13日”アイクもかわいそうに これからは命令どおりにはいかないだろう。”
アイゼンハワーが大統領に当選したとき、前任のトルーマンがこう言ったそうです。それはなぜか?明日もお楽しみに。

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