本日の”ドラッカー 365の金言”も、「マネジメント・フロンティア」からの抜粋で、企業買収を成功させる4つ目の原則についての説明。買収される側の事業や価値観に対して敬意を持つことの大切さについて書かれている。
”財務ではなく事業で。”という第1の原則も大切だが、個人的には、この第4の原則が企業買収の成否を大きく左右する鍵を握っている様に思う。というのも、買収後の組織を訪れるあらゆる人(顧客、取引先業者など)が事務所に入って瞬時に感じられる程、この”心の溝”は外部に露呈されることになるからだ。
では、なぜこのような溝が生まれるのか?
その全ての責任は買う側のトップにあるのだろう。買収のプロセスを通じて表面化する現場の人間関係ほど、買う側の”トップの器”をそのまま投写するものは無いかも知れないと常々感じている。
トップが買収を意識し始めるその瞬間から、人としての対等性が全くと言って良いほど失われているように感じる。それはまるで「車のハンドルを握ると乱暴になる人」の様に、それまでは温厚だった人(経営者)が変わってしまうのだ。組織の名の下に、相手の組織や人を自らの下においてしまう。
しかし、事業の目的は”顧客の創造”であり、買収の目的もより多くの顧客を創造するための意思決定のはずだ。
なぜトップは買収を意識するとそうなってしまうのか?
買収するという事実が「勝者の証」のごとく、”目立つ”からではないだろうか?こうした相手に対する敬意の欠如が引き起こす”心の溝”をより強く感じる組織のトップは、”戦い抜いてきた雇われ社長”であることが多い。
買収は新たな顧客創造のために実行するにも関わらず、有頂天になってしまい、それを自らの功績であると勘違いしてしまう。これは自ら事業を興す難しさを知る創業社長にはあまりないことだと思う。
中小企業の間にも買収は身近な存在になってきているので、いつその様な展開があるかは分からない。本日のページを通じて分かった事は、買収のための心の準備は、今始められるということ。いかなる場面であっても、対等性を重んじた行動に徹し、その時に備えていきたいと思う。
最後に原著「The Daily Drucker」にて、本日のページの最後にある部分を引用しておこうと思う。
Sooner or later, ussually sooner, a business requires a decision. People who do not respect or feel comfortable with the business, its products, and its users in variably make the wrong decisions. (P.F. Drucker, "The Daily Drucker", p.381, Harper Business)
遅かれ早かれ、(多くの場合、すぐに)事業において意思決定が必要となる。変化するビジネスや製品、消費者に対して敬意を払わなかったり、違和感を感じる人は、誤った判断を下してしまう。(同上 中村克海訳)
Today's Questions.
Q:車を運転すると強気になったりしませんか?
Q:業者の方を下に見ていませんか?
Next Page is...
12月15日”買収された側のトップにしてみれば事業は自分の子供である。”
買収後、放置してはいけません。明日もお楽しみに。
0 件のコメント:
コメントを投稿