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2009年9月23日水曜日

”データに意味があるかないかが最大の問題である。”

 
本日の”ドラッカー 365の金言”は、データ収集の難しさについて紹介されている。様々な形でデータの集積が可能になった一方で、「人の動機付けに繋がらない、無駄なデータ」が増えていることを危惧した内容だ。そのため、本日のアクション・ポイントで、ドラッカー教授は、「マネジメントに使用しているデータの再点検」を示唆している。

確かに、昨今、あらゆる事象を簡単にデータ化したり、グラフ化できるようになったため、現場に目をやると、あまりに不必要とも思われる集計に、膨大な時間を割いている光景を目の当たりにする。そして、最終データ(数字やグラフ等)の算出方法を確認すると、非常に信憑性の低い数字が基礎データになっている場合も多く、

「今まで、何時間この無意味な作業に時間を割いてきたのだろう…。」

と愕然としてしまうことも多い。
みなさんにも似た経験があるのではないだろうか。

(これは当社でも未だ徹底できていないが、)こんな時は、思い切って全社的な「データ処理の棚卸し」をしたい。全社的に行われているデータ処理を廃止、簡素化、方向修正などを施すことによって、体脂肪率を大幅な低減を狙うのだ。

しかし、この”カイゼン活動”には、スタッフの大きな抵抗が伴うことも付け加えておきたい。なぜなら、それだけの大きな時間と労力がそこに割かれてきたからだ。そのデータ処理があまり役に立たなかった作業だとしても、本人にはかけがえのない仕事だったはずなので、くれぐれも慎重に着手することを忘れてはならない。

ここで最も大切なのは、

「組織に、より多くの未来の時間(明日をつくる時間)を確保するため、なるべく時間に余裕を持ちたいので、あなたも協力して欲しい。」

という前向きなメッセージを最後まで貫くことを自分に誓わなければならない、ということだ。

よく、あまりに無駄なデータ処理を発見したからといって、鬼の首を取った様に「見てみろ!私の言ったとおりだ。こんな無駄な事ばかりやっていたじゃないか。」とはしゃぐ上司がいるが、無論、部下の責任は上司にあり、本当にカイゼンするのが目的であれば、こうした態度は全く賢明ではない。

第一、似たような問題は組織全体に山ほど眠っている。氷山の一角を見つけては一喜一憂してはならない。上司がこうした軽率な言葉を発した瞬間、全てが台無しになってしまい、このカイゼン活動は永久に葬られることになる可能性が出てくるのだ。

もし問題が見つかったら、今回、それを見つけられたことに「(その問題に)やっとお会いすることができました。」と、まずは感謝する必要がある。

さて、話を元に戻すが、「データ処理の棚卸し」といっても、以下の様なデータは、まずは一旦対象から除外する必要があるだろう。

A)法的に義務づけられたデータ
B)顧客との間で約束が交わされたデータ

「データ処理の棚卸し」の手法は、基本的にはドラッカー教授の唱える「体系的廃棄」と同様だ。まずは、やめることから考える。社内のデータ処理を全てリストアップし、大きな時間が割かれているものから、以下の手順でカイゼンを進める。

1)まず、やめてしまったら何が起きるか?

を確認する。これを確認するプロセスにおいて、次の

2)この活動の目的は何か?

が、ある意味、自動的に明らかになってくると思う。データ処理の目的(集計の狙い)が明確になったところで、まずは今までのデータ(グラフ等)を一旦、横に伏せ、この先はこれを見ないで次のステップに進もう。

3)「5つの質問」と照らし合わせる

飛躍すると思われるかも知れないが、これが私の経験上、最も近道だと感じている方法だ。組織全体としての目的を改めて見つめ直すことで、個々の行動の動機付けを探すことができるからだ。

 ①われわれの使命は何か?
 ②われわれの顧客は誰か?
 ③顧客にとっての価値は何か?
 ④われわれの成果は何か?
 ⑤われわれの計画は何か?

注:「5つの質問」に馴染みのない方は、ぜひこの機会に当サイトから「経営者に贈る 5つの質問」を注文していただきたい。たった百ページの本が、自らの行動を大きく変えることに驚くはずだ。

このように、上の①〜⑤を順に辿ることで、先程の2)「データ処理の目的」が、いまいち組織の使命達成にリンクしていない事がうっすらと見えてこないだろうか。(個人的な経験では、9割以上のデータ処理が廃止、大幅な修正等の方向転換が必要となる。)

4)どの様にすれば、より大きな成果を生むことができるか?

を次に検討する。過去に行った活動の集計に時間を割くのではなく、今後の活動に対しての時間に変えてゆく。結果として見いだされる活動が、「データ処理」でなくなってしまうことさえあるが、その場合は、上司が勇気を持って本人にやらせてみよう。

本人には、その後の経過を逐一報告してもらい、細かな修正を加えながら、新たな活動を失敗させぬよう、上司が見守ることが大切だ。本人にもカイゼンのメリットが見え始めたら、その他の仕事にも同様の見直しができるよう、気軽に相談できる環境を用意しよう。

以上のように、われわれは常に「データ処理に組織全体が束縛されてしまう」ことを避けるため、自らの組織を観察し続けなければならない。定期的に棚卸しを行うことで、少しずつでも未来の時間(明日をつくる時間)増やしていけるのだと思う。


Today's Questions.
Q:より大きな問題や無駄を気軽に話せる雰囲気がありますか?
Q:組織の使命達成に必要なデータを集計できていますか?
Q:明日のためのデータ処理が行われていますか?

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9月25日”今日の組織が最も必要としているものが外部に向けた感覚器官である。”
明日の内容は本日と重複しますので、お休みさせていただきます。次回は、「外部の世界に敏感になりましょう。」という内容です。お楽しみに。

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